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悪人/吉田修一
映画版を先見。
意外と面白かった。
意外とってのは、映画を見る限りでは、笑いは勿論、心の救いもないような、重たく真面目な物語だと思っていたからである。
予想に反して、多少のエンタメ成分があった。
小説というのは、そういう風にしないといけないのかも知れない。
登場人物は誰もが馬鹿にされていると思い、憤っている。
メインテーマは実はそこだと思う。
誰が悪か?というよりは、何で"そうしなければ"と考えたのか?
何に腹を立てているのか、腹が立つから悪なのか。
まるで馴染みのない地方なのに、人間くさくて卑近に感じられる。怒りも強く感じるが、愛だか情みたいなものも強く感じる。
映画版と比較して。
祐一の抱えているものが、圧倒的にわかりやすく描かれていて、最後の場面は祐一かっこいい…と思った。
別に、映画ではわざわざ語ることのできない心情を、文章で説明しているわけではない。
限られたフィルムに収めるために、切られた部分が祐一の承転であったということだ(あと鶴田くん)
これを魅せることを抜きにして祐一を演じたんだから、妻夫木さんはすごい。でもやっぱり無理だったんやー。
映画で焦点をあてていたのは光代の方だった。これもう助演女優賞じゃなくて、主演女優賞あげるべきじゃないか。
エラゴン-意志を継ぐもの/シュテフェン・ファンマイヤー/2006.アメリカ
原作未読。
つまんなかったなあ。
ドラゴンの存在がライダーより劣るというか、人間至上主義な感じのする世界感と、
勇気と無謀は違うんだぞ!と言いながら、まあやってみて駄目だったら謝ればいいよね。で結局わりとうまくいってしまう筋立てがお気に召さない。
よくある英雄譚である。
主人公のパートナードラゴンが女性であることや、
悪役のシェイドが話から逸脱しかねないレベルの残酷さを発揮するところなんかは独特で面白いと思う。そう彼はとてもいい。
だけどこれは駄作だ。
最初にラスボスとして国王を出しておきながら、今作では側近の彼を倒すだけで終わるところが。
そんで最後に王様の「エラゴンめ…」という独白で終わるところが。
初めから二部作です、と宣言するとか、なんかしかの畳み方はして欲しかったなあと。
続編を期待させるような…まあ期待はさせてほしいんだけども、風呂敷を広げるだけ広げといて、続編を乞うご期待!は絶対に認めない。
密室の鍵貸します/東川篤也/文庫
面白かった。
同じ作者では「謎解きはディナーのあとに」「放課後はミステリー」を先に読んだのだけれど、そこからの期待に違わない感じの面白さだった。
あらすじ。
大学三年生の主人公は、付き合っていた彼女に壮絶にフラれる。
ショックではあったものの、一応ふっ切って日常を送っていたのに、なんと彼女が殺されてしまった。
自分に掛かっている容疑を解くには、密室の謎を説き明かすしかない!?
東川篤也の長編本格ミステリ。
先に挙げた二冊と決定的に違うのは、これは長編だということ。
同じ作者でも長編が上手かったり短編の方が圧倒的に面白かったり、両方面白いとしたら作風が違うのが当たり前だと思うのだが、東川篤也はすごい。
短編のテンポのよさ、余計な描写を省きまくった勢いのある流れ、しかもそういう切り詰められた中で伏線張りまくりーの回収ーの。
こんな風に言うと息が詰まりそうな話のようだ。けれども語り口がごく軽快で、読み出すと止まらない。
…というのを長編でもやっている。実現している。
先に読んだのが短編の方なので短編基準の言い方をしたが、「密室の鍵貸します」はデビュー作らしいので、さくさく気持ちいい長編書いてたけど短編に詰め込んでみたらそっちも面白かったね、が正解かもしれない。
短編との違いとしては、この作品では特徴的な多視点描写を用いている。
主人公視点(これはワトソンサイドだ)と刑事視点(これも二人組のワトソンの方だ)、更にその二つを繋ぐ"神"の視点。
この3つを効果的に使い分けることによってテンポのよい、含みのある流れができ、
つい続きが読みたくなるような物語になっている。
THE QUIZ/椙本孝思/アルファポリス文庫
後味の悪い準ホラーだった。
何が準かってーと、状況がミステリアスで内容が残虐なだけで、怖さを追求してないから。
怖さにこだわらないのは狙ってのことだと思うけれど、相応しい分類を知らないので。
舞台は現代の日本
登場人物はテレビ局のスタジオに閉じ込められて命懸けのクイズに参加する。ただしリタイアはできない。
こういう密室系サスペンスには、リアリティはあまり必要でない。
テレビ局で携帯使えなくはならなくね?とかそういう無理はやってもいい。
だけど説得力は必要だ。どんな異常な設営でも、じゃあしょうがないよなあ。と読者に思わせられれば勝ち(?)。なのだけど。
つまりどーも納得出来なかった。
だからなんとなくむずむずしながら、でも続きが気になる、最後まで読みたいという気持ちにはさせる。そういう感じ。
エンタメですし(多分)読んで後悔はしないと思われます。
以下ネタバレ含む
悪人/李相日/2010.日本
楽しい映画ではなかった。当たり前ですね。
原作未読。
…あんまりコメント書きたくないなあ。
言葉で説明できる何かがあるようなモノじゃないし。
見終わった後にこう、どうして世の中にはこうなっちゃう人がいるのか。と悲しい気持ちになる。
役者のことを少し。
宣伝の段階で、妻夫木主演は意外性が強かった。
こういう役を、彼のような笑顔の似合うタイプがどう演じるのか、興味を引かれていた。
実際に見てみると、…これはミスキャストだろう。色目かもしれないが、氏の人柄のよさが透けて見えるようで。
妻夫木さんは好演した。かなりがんばった。
でもやはり惜しかった。
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