[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
放課後はミステリーとともに/東川篤哉
面白かった。
以下感想…だが。
のっけから何も言えない。何しろ中身に触れることができない。どうして言えないかも言えない。これが文庫化したら解説者は大いに窮するであろうことは想像に難くない。
窮しないかもしれないけど。
とりあえず、筆者は窮している。
まあ、読んでみろ!面白いから!
世論の曲解/副題:なぜ自民党は大敗したのか/菅原琢
郵政解散から民主党が与党になるまでの各々の選挙を、「世間で言われている」説が正しいのか検証する、というスタンスで振り返っている。
データの見方、陥りやすいミスを暴くことがメインになっているため、意見らしいものは通説への批判くらいである。(とはいえ、この批判がどうしてなかなか、そんなに喧嘩売って大丈夫だろうか?という勢い。)
データの利用に慎重であり、牽強附会な論理や根拠の怪しい傾向付けがないという意味で信頼の置ける、貴重な存在だ。
本のテーマとは関係のない内容で、確証バイアスという言葉が使われていたのが印象に強く残った。
確証バイアスとは先入観によって情報を取捨選択してしまうことを言う。
文中で、頼れる「プロ」であるはずの、専門家や評論家といった人達にも、確証バイアスが起こっていること、を指摘している部分がある。
筆者は個人的に、確証バイアスが起こることは避けられない、仕方のないことではあると思う。
だからこそ専門家は分析に細心の注意を払うべきだし、受け取る側もけして鵜呑みにしてはならない。
懐疑的にあるべき、といっているのではなく、可能性を念頭において受け取るべきである。
と、自らの肝に命じておく。
途中で本筋のよそ見というか、テーマのばらつきのようなものを感じた。
あとがきによると、当所は(実際の本では中頃で少し扱われている)「若者論」をメインにする予定だったようだ。
どちらかに絞って一本書いたらば、相当良いものになっただろうな、と思うと残念至極。
寸感。
最近読んだ本の中では一番目が滑る本であった。
文章が読みにくいのは使われている単語や文の組み立てに馴染みがないからである。
いわゆる「難しい」文章というのは要するに汎用性の低い文章である…なんてことは本の内容には関係ないので、ここらへんで終わることにする。
謎解きはディナーのあとで/東川篤哉
面白かった。
さくさく読める短編集で、「何か面白い本ないかな」と思っている人にオススメ。
通勤・通学の電車に最適。
ただし、笑っちゃって恥ずかしい思いをするリスク大。
ミステリとしては、トリックありきのパズル的なもの。よく考えられた構成だけれど、決してじっくり考えさせるような物じゃない。難しく考えないで、どんどん読んじゃって、「ああそうだったの!!」と叫びたくなるのが楽しい。
自分で謎解きをするよりも、軽快な文章と奇抜な展開をメインに読める筆者には堪らない。
本格とは正反対のエンタメ系であるが、探偵役とその他の人物のコントラストが強く出ていて、キャラクターが魅力的であるところは正統派探偵小説に近い。
この作者はミスディレクションを好むようなので、中身にあまり触れたくないのだが、表紙を見てわかることに少し触れる。
表紙に書かれている通り、執事がでてくるのだ。
それで最近の、女性に人気だったりする、流行りものの一種だと先入観を抱いていたのだが、読んでみたらそうでもなかった。
多分、作者の感性が古い。一周して新しいのかも知れない。
富豪刑事なんかに親しんだ世代にも、ティーンにも楽しめる、不思議な本であった。
内容にほぼ触れないでここまで来たが、読後感想は省くとする。
GANTZ/佐藤信介/2011.日本
よかった。
ガンツ原作は未読、アニメ版を最初の方だけ見た超ニワカの意見では、原作の雰囲気がそのまま出ていて文句なしだった。
キャストが実にぴったり。本人じゃないのか。
話を削って展開を急いだ感じはするけれど、全体が纏まってて初見は見やすかった、と思う。
TVとかでやってるCMはあまり上手くないね。本編の魅力が充分に伝わってなかった。
つまり、期待したより面白かった。
エロ分は大いに控え目。犬いなかった。全裸はあった。
グロ分はPG12だけど、こんなにやって大丈夫ですか?というほど。
ガンツ玉への謎掛けが控え目だったのもあって、映画中あれこれ深く考える暇もなく。
主人公達と一緒に状況についていくのに精一杯。
白熱するバトルシーン。なす術なく死んでいく仲間(?)たち。上映が終わってから「そういえば、あれはなんでなの…」と追い追い考える有様であった。
最後にマツケンに関する思わせぶりなシーンで前半終了。後半の予告編が最後にあったがこれもイマイチ、そのものの出来はよくない。
前半見た後なら、消化不良な最後の引きが次回へのワクワクに変わる。
もう一度見に行きたいくらい面白かったけど、映画としての出来については後半を待たなければ何とも言えない。
期待は大きい。
■表題「死刑執行人サンソン」/著作:安達正勝/集英社新書
■目次
序章・呪われた一族/第一章・国王陛下ルイ十六世に拝謁/第二章・ギロチン誕生の物語/第三章・神々は渇く/第四章・前国王ルイ・カペーの処刑/終章・その日は来たらず
■集英社から出ている漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の登場人物のモデルになった人物がサンソンである、と聞いて読んでみた。
薦めてくれた人が残酷だ残酷だというから、かなり心して読んだのだが…普通に面白かった。
結論から言うと著者は「死刑制度はなくすべきだ」というサンソン自身の考えを重んじており、
従って著作の内容も残酷趣味を満たすためのものではないからだ。
内容を一言で言うと、死刑執行人サンソン一族の推移をたどりながら、中世フランスにおける死刑制度とギロチンの誕生経緯を紹介している。
主題が主題だけに、胸が悪くなるような凄惨なことも書かれているけれど、初めに言ったとおり、別に残虐趣味で書かれているわけではないので、表現は簡潔で、執行人の悲痛な心情も合わせてあり、普通に読むことができる。
残酷なものを読みたいならばむしろお勧めしない。
専門家ではない自分には、死刑執行人の立場から見たフランス革命の描写がとても興味深かった。
フランス革命といえば市民が王政を倒して共和国となった世界史上非常に重要な事件である。
革命の主体は市民であり、勝ったのも市民である。王家は贅沢限りをして悲惨な末路を辿ったとしか、教科書でしか歴史を学んでいない私は、知らなかった。
しかしこの本では「革命は必要」と考え、国王に忠誠なサンソン一族の視点からフランス人が書かれている。
当のルイ十六世に実際に会ってその威厳に圧倒され、革命の空気に酔った国民の行き過ぎた行動を批判的に見、敬愛する国王を最終的に自分の手に掛けざるを得なかったアンリ・サンソン。
声も出ないようなものすごい話である。
おそらくこのくだりがこの本のクライマックスだった。
この後はサンソンの訴えを中心に、フランスにおける死刑制度の幕閉じを綴って終わる。
戻るが、この話の要は、死刑に実際に手を下した人間が「死刑制度はなくすべきだ」と考えていることである。
作中でもたびたびいわれている通り、当時のフランス市民は、死刑に関して非常に無責任で無自覚である。
「執行人を疎む市民」についての叙述があり、しかもその市民は死刑は必要だと考えている。
ギロチン自体もう使われていなく、まるで実感のない話だと感じられるかもしれない。
だが日本にはまだ死刑制度があるし、これから裁判員制度が始まると、実感がないどころではない。
死刑判決を出すことは、間接的でしかも連帯とはいえ、自分が人を殺すことである。
裁判員制度が始まる前だって、専門家に任せているだけであって、死刑判決を多くの人々は求めている。
たとえ相手がどんな極悪人であろうと、人が人を殺すことに変わりはないのにだ。
ただ、必要悪という言葉もある。
突き詰めれば人が人を裁いても良いのか、ということにもなってしまう。
こと死刑について、良いとか悪いとか出来るとか出来ないとか、一人一人には決められない。
だからといって、考えなくて良いわけではない。
無自覚で無責任な市民になってはいけないのであって、そのことを考えるきっかけになるいい本だった。
というところで感想を終えたいと思う。ご清聴ありがとうございました。
04 | 2024/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |