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ルール(原題:urban legend)/アメリカ/
なんとも、ただのスプラッター。
子供の頃(私の場合は小学校)、怪談だとか怖い話は妙に流行ったものだ。
そういう類の映画であった。
最も残念だったのは怪談の使い方。
都市伝説研究を絡めてくるとかいう振りがあったから、もっと掘り下げて来るかと思ったら、全然どうでもいい感じだった。
冒頭で教授が「都市伝説とは全て根も葉も無い噂話であり、遡れば教訓話に行き着く」と講義をぶつだけ。無茶苦茶である。
その際に引き合いに出した「弾けるキャンディとソーダを一緒に飲むと内臓が爆発して死ぬ」というのは「出鱈目である」というし。これはまずい。キャンディは確かに大丈夫だけれど、ラムネやメントス飲んだら痛い目見るよ。
ルールっていう邦題も、都市伝説のルールに従わないと死ぬ…っていう(出所のわからない)粗筋から来ているようだけど、そういう場面は別になかったし。
それでも主人公(ヒロイン)の考え方は一貫していて格好よくて、ある意味では安心して観られた。そこはよかった。
もう一つ評価したいのは、落し所。この手のホラーは救いのないエンドを演出することが多いけれど、そこを盛り込んでの…あんまり言うと観る楽しみがなくなるのでこの辺で。
28日後…(28 days later)//イギリス・スペイン
傑作。
ホラーというより、映画として傑作。
あと音楽がすごい。好き。
あらすじ。
生物兵器として開発された"レイジウィルス"が流出し英国全土を襲う、バイオハザード・パニックホラー。
たくさんの人がウィルスにより命を落とした中、事故で意識を失っていた主人公は病院で目覚める。
ウィルスのせいで正気を失っている人々(元・人々という感じだ)と戦いながら、生き残った人達と助け合いながら生き延びようとするストーリー。
生き延びる、というところが一つポイントである。ただ生き延びるのも難しいのに、生き残った人々は希望がなければ生きていかれないという。
これを含め、近年の映画ではよくみるテーゼがあまり感じられなく、独特の切り口で話が進む。
ホラーとしても独特で、ホラー映画らしいおどろおどろしい雰囲気やら、急に出て来るような脅かし、もしくは出て来るに違いない…と思わせる緊張感あるシーン作り、などはない。
ていうかホラーなのか?
怖いと言えば、生き延びても先の展望はなく、生き残った未感染者も正気でいるのが難しいという状況がとにかく怖い。
レイジウィルスという名前は多分、感染者が怒りに我を忘れたようになることから名がついたのだと思われるが(作中に由来の説明はない)、感染していない人間もたいてい冷静でないため、まるで感染しているように見え、人間てこんなものかと思わせる。
ジャンルとしてはゾンビ映画になるのだと思うが、変わっているのは感染者がまだ生きているところである。治癒の見込はないにせよ、相手がまだ人間だとわかっているのはきつい。
見ていると価値観を叩き潰されるのに、登場人物の思考がわかりやすくて引き込まれた。
善悪観が特にめちゃくちゃになるので、正義感の強い優しい人にはつらいかもしれない。なんつて。
といったところ。
スパニッシュホラーっていいもんだなあと最近思い始めた。
陰影の使い方が本当にいいんだよなあ。
以下ちょっとだけネタバレあり
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア/Interview with the Vampire: The Vampire Chronicles/ニール・ジョーダン/1994.アメリカ
期待以上に面白かった。
その映像美やよし。
インタビュー形式で話が進むのに、舞台がほとんど中世ヨーロッパ(および、みたいなニューオーリンズ、近世フランス)なのがよかった。
画面がゴシック。
バンパイアといえば黒マントがスタンダードだと思うのだけど、この作品ではロココ貴族のような出で立ちで、悪魔的というよりは神々しい感じ。
美しさを前面に押し出しているキャラクターデザイン。意外と見ないもんだ。
話はというと、女性向けみたいなめろめろメルヘンかと思ったらそうでもなかった。
特に、老いないのに歳をとる(内面は更に)バンパイアの、未熟なまま大人になったクローディア、耄碌した彼等の表現は凄かった。
バンパイア同士の愛情というのが、存在意義の不確かさがそうさせるのか、妙に切ない。
親戚よりもっと希薄な感情で、しかも切実である。
あるいは人間の名残かもしれない。自分が人間であった時に大切だった気持ちを捨てるのが嫌で、愛あるように振る舞いたいのかも。
それが悲劇でもある。
クローディアに対するそれは、真実深い親子のものであり、しかもままごとじみたお遊びだった。
「パッセンジャーズ」/監督:ロドリゴ・ガルシア/2008.アメリカ
おもしろかった。
スピリチュアルな映画だとわかっていて見ないと、がっかりするかもしれない。
あんまり言ってもネタバレなので難しい。
主演のアン・ハサウェイが好みどストレートだったのでもうそれだけでいいような気がする。
眉のはっきりした顔立ちの女性って魅力的だなー。
内容はと言えば。
SFというか、なんというか…ファンタジーなものだと思ってみればこれは面白い。
だけど宣伝にだまされた感じはする。
そういう意味ではノウイングと近いだろうか。心が狭いのだろうが、どうもこういう展開はずるいと思ってしまう。
以下粗筋を含む↓
中途半端な密室/東川篤也/光文社文庫
安定の東川篤也。面白い。
短編集。
表題作は東川篤也のデビュー作「中途半端な密室」、冴えない中年が喫茶店の机上で密室事件を解決するこれが筆頭、以下は岡山の大学生ミキヤが同級生の名探偵敏ちゃんを相方に語りながら事件を解釈する安楽椅子探偵小説集。
表題作はデビュー作だけあって切れがよい。気合いが違う。やはり東川作品は短編がずば抜けているなあと思う。
オチがね、ガッと来たね。
ネタとしては些細な出来事なのにね。さすがうまいなあと思った。
もうひとつだけ感想をあげると、別荘の密室事件が印象的だった。
推理ものにありがちな、正義が勝つという意味ですっきりする(現実的ではない)解決が行われず、人間らしさに真っ向から取り組んだような話だったから、珍しいと思った。
思ったが、東川作品としては毛色の違うものでもないと気付いた。そういえば人間くさい話が多いなあ。
といってもそれだけで珍しいわけじゃなくて、下手をすれば後味の悪いような呼の手の話を、それはもう綺麗に仕立てているところが、珍しいというかすごい。