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2024/04/29

クリムゾンの迷宮

クリムゾンの迷宮/貴志祐介/角川ホラー文庫

平成十一年、初版。
正直、出たとき読んでればよかった。
面白くないことはないのだが、「飽きた」と思ってしまった。
ただ貴志作品にしては群を抜いて薄いので読みやすいし薦めやすいではある。

「ゲーム」要素で強く縛られた作品である。主人公は岩山で目覚め、記憶を一切失っている。そしてゲームボーイカラーのようなゲーム機械を持たされ、賞金と生命のかかったサバイバル・デス・ゲームに強制的に参加させられる。否、既に参加させられている。
参加者は全部で9人、脱出できない荒野の中で、思い思いにグループ行動をとることになる。主人公はアクシデントにより、大友という女性と一蓮托生の身になる。

取材魔と言われるらしい、緻密な描写が多い。舞台は実在の地であるが、非常に作り物めいた、ゲームに相応しい場所である。
悪の教典の時にちょっと書いたが、こういった状況設定は本当に素晴らしい。よく見つけてくるもんだと思う。
貴志作品にしては人物の描写が浅くて物足りない。特に主人公ペア以外のことは殆ど描かれない。初期作品だからか。単に薄さの(頁のだ)問題かもしれない。

バトル・ロワイヤルと同時期だなと思ったら、完全に同じ月に発行されたものだった。運が悪いというか、流れの中での必然というか。
このジャンルでは発祥の一つと言えるだろう。


続き↓に同系統の作品を知る限りでまとめてみる。
この作品に限らずネタバレになる恐れがあるので、その点留意していただきたい。
また、書き漏らしている作品をご存じの方が居られましたら、教えていただけると幸いです。

余筆。
ようするに似た話をいくつも見てしまっているので、意外性が私のなかになく、それだけで価値が下がるわけではもちろんないけれど、続きが気にならないなあ…という印象がある


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[続き↓]

2014/08/19 読後感想 Comment(0)

ツーリスト

ツーリスト(原題:The Tourist)/ フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク/2010、アメリカ

おしゃれな映画だった。
パケ見てこんな映画だろうなと想像した通りの中身だったので平常心で見終えた。
短いしややこしい設定とかないし映画見慣れてない人でもきっと楽しめる。


ジョニーデップと聞いてよし見よう、が今度にしよう、になりまあいいかな…。になる始末で最終的にはなんとなくで見た。
なぜそうテンション下がったのか自分でもわからない。スパイ映画にしては薄味。
アンジェリーナジョリーが好きならアンジェリーナ最高に美しいんで見るべき。
ジョニーデップは、なあ…。

ちょっと変なこと言いますよ。
ジョニーデップは隠しきれない繊細さ、潔癖症めいた動作が魅力だと思う。だらしないキャラクターを演じていてもつま先立ちで走るような。シークレットウィンドウなんかとてもよかった。
そういうところがひょうきんなキャラクターであってもなにか底の知れなさを感じさせるのじゃないかと思うんだけども、今作では生かされてなかったな、と思う。
素性を隠しきれないんじゃなくて隠してない。演じる方向が逆なんだと。
別にジョニーじゃなくてよかったじゃんと思うわけでした。

2013/08/21 映画感想 Comment(0)

悪の教典

悪の教典/三池崇史/2012/日本

面白いスプラッター映画だった。
映画としてはとても良くできていて楽しめた。
ただ原作未読ながら、貴志祐介の良さは生かされていないと思う。

全体が「モリタート」という明るい曲調の歌で絞められている。これが素晴らしい。
冒頭ではメロディばかりが流れているモリタート、繰り返される内に歌詞が字幕で入ってくるのだが、そこで歌の内容の凄みに気づく。怖い。もうこれだけで戦慄する。もともと歌に馴染みがあるならあたまっから鳥肌が止まらないんじゃないか。
主題的に曲を使っているところは原作どおりらしい。モリタートの聞こえてくるような小説とは如何なるものか。是非読んでみたい。

スプラッター的な予感はしているとむしろ退屈な前半はハスミン(主役の蓮見先生)の好青年ぶりを如何なく映し出す場面で、伊藤英明の既に培われた爽やかな印象と演技力でもって完璧ないい先生を蓮見像に抱く。まあ肝心の英語はちょっと…。だがそこは忘れよう。どうせ忘れる。
この好青年の憎めない笑顔が後半になるとそのままで脅威になるのだから恐ろしい。伊藤英明すごい。
いい先生を演じるのに問題はないだろう、むしろこれ以上ないだろうけど、サイコキラー演れるのか?と思ってたから大変裏切られた気持ちである。伊藤英明ずるい。

有名な部分だが、前半にはエロスありカラスありモンペあり。なぜか体育教師の女生徒へのセクハラは描写割愛し、美術教師と男子部員のベッドシーンはしっかりやる。
あ、でもそこは気合い入っててよかった。女子だと裸見せるにも倫理観厳しいから男子で思いっきりやりたかったのかも知れない。もしくは。
エロだけでなくスプラッシュに入る前の何件かの殺人の見せ方切り方を考えると、この映画がB級ホラーでもないのはその辺のある種耽美な映像のせいだろう。下品な感じというか、直情があまりない。なにもかもにワンクッションある。それが怖さに功を奏すのが特にガムテぐるぐるのくだり。エグいので詳しくは書かない。ただガムテの巻き方にすらショックを受けた。

カラス素晴らしかった。どこまで天然のカラスかわからない。悪者ではないはずなのに恐怖を感じさせる無表情じみた丸い眼が、後半の蓮見の感情の欠落した円らな瞳とリンクしている。よくこの観点でキャストを活かしたと思う。感動。
ただカラス殺しに関してはちょっと省きすぎ。
そこだけ原作読んで知っていたからいいけれど、電流の仕掛けは説明なしでやるなら他の方法を使うべきだった。フギンムニンとハスミンの両方が頭悪そうに見えて残念である。

それにしても日本人の好きそうなホラーだ。

後半は思いきりがいい。血がばんばん飛んで、人がばんばん死んでいく。レインコート着てショットガン撃ってるところなんかはスプラッターの鑑みたいなもんで、和製では滅多に見ない割りきった映像作り、こういう映画が陽の目を見ること自体珍しいと思う。
それもエンタメに振り切った表現のベースメントが貴志祐介だからできること、なんじゃないか。To die?なんてウィットがいいよねえ。
そういう地力は強く感じる。一方で、貴志祐介特有の人間の厚み、鋭さ、コミュニケーションの流れ、みたいなものはやっぱり死んでる、違うな、メインじゃない感じがする。

ウェブでコメントを散見したところ、「大変怖かった」「派手なスプラッターでよかった」という意見を見る一方で、原作ファンや「サイコホラー」の触れ込みに興味を持った人は「期待と違っていて残念だった」と言っているように感じた。
もし原作未読でエンタメスプラッターではなくサイコホラーが見たいならば悪いことは言わない、DVDを捨てて活字本を手に取るべきである。

貴志祐介といえば「黒い家」が傑作。
最近では「鍵のかかった部屋」というドラマや「新世界より」というアニメも同作者で人気を博しているのでご存知の人も多いのではないか。
映像作品の方はほとんど見ていないのでどうか知らないが、原作版黒い家では精密で流れのある心理描写で人間怖いを極めているので印象的だった。書録に付けていないがとても好きな作品である。
その辺から察するに、主役の蓮見の異常性を魅せる方に比重を置いているのが原因でこの作品は信憑性<猟奇性を強く感じる。もちろんこれは態とだろうが、原作からかけ離れた印象を持つ人が少なからずいるわけだ。
くっそ長い分厚い本なのに読み出すと止まらないのが貴志祐介。それは出来事の面白さじゃなくて、人間の心の動きがよく流れているから。心をいいように持っていかれて感情移入してしまうのに、今回はホラーだからほんと恐ろしい。
ハスミンに寄るか、被害者に寄るかで作品の感想も変わってくるだろう。
殺人鬼の気持ちに感情移入なんかするかって思うだろうが、できちまうんだから怖い。

話がそれた。映画の内容に戻る。
ハスミンの異常な(やってることはランニングとかでも薄ら怖い)行動もあって暗い画面が続くなか、
はしょった、もとい印象的なカットに留めた感の否めないハスミンのアメリカ生活の回想がまた異色であった。
一時期行動を共にした猟奇殺人鬼の場面のライティングがことさら明るく、コミカルというかアットホームというか、スペイン映画みたいなビビッドな画面なんである。なにしてるかっていうと、死体を運んでいる。死体を運んでいるんだが、一見死体に見えない。バケツいっぱいの血と肋骨と十二指腸。白いゴムつなぎみたいな作業着着て。びゃああ。
この死体に一瞬見えないのは血の量とか常識では考えられないオーバーテイクのなせるわざだろう。普通ならこのくらい、それを越えると異常。それも越えたら理解不能。理解できないもんは怖い。明るい画面だから余計怖い、うまい表現だと思う。
それにしても猟奇さんはえらく楽しそうにしているのに対し、ハスミンは作業全開というか、退屈そうにしている。彼にとっては死体の処理は本当に作業なんだろう。

後半の舞台は文化祭の準備中の学校。ここの飾り付けもサイケで素晴らしい。
きっと原作では文化祭=楽しい時間の準備をしている学校という希望に満ちた場所が舞台になることで絶望感溢れる演出が目的だったのではないかと想像するのだが、映画ではそれにとどまらず、非日常感、派手な舞台、色彩美、広いのに逃げ場がない狭さも感じさせる不思議な空間作りと果てしなく有効なシチュエーション。
あとは人が死ぬだけ。映像にやれることに特化した映画なんだから映像美と蓮見の演技を楽しめばよい。

ただポリシーに則ってひとつ文句を言っておくと
ラストの演出は作品を駄目にする悪行であった。
ピカレスクロマンであるし、勧善懲悪は寧ろ現実的でないのも加味するとさほど悪いオチではないのだが、映画的に安易だなあ、もうちょっとやり方なかったのかなあと残念に思う。

だらだら書いてしまったが一言でまとめると、いい映画だった。



寸感。
人が死ぬ映画は実録ドキュメンタリーでない限り実際には人(キャスト)は死んでいないのだから、絶対になにか感じろと言うのも無闇な話である。一方で人が死ぬ映画はどう見ても人が死んでいるのだから、なにも感じるなと言うのも無茶な話である。
わかってもらうのは多分に難しい。

映画表現の話をする予定だったのだが、ここまであまりに長いので別の機会にとっておこう。

2013/08/19 映画感想 Comment(0)

パラサイト

パラサイト/The Faculty/ロバート・ロドリゲス/1998 アメリカ


面白かった。
筆者の中では五指に数える傑作。
…ロクなの観てねーなとか言わないように。

B級エイリアンもの。
しかし、SF・ホラーというよりサスペンス、いや学園ラブロマンスと言った方がいいんじゃないか。
出だしがかなりグロいけど、へこたれてはいけない。
最初15分見てよっぽどやめようかと思ったけど、最後まで見て本当によかった。

とりあえず、SF的には大変よろしくない。
基本的には先達のSFを意識したオマージュ色が強い。
wikiによると「盗まれた町」がベースになっているという。作中でも同作の存在には言及されているのだが、残念ながら未見なので相似点までは気付かなかった。
パラサイト=エイリアンの実態説明がこじつけがましいというか、SFマニアのストークリーの勘に投げっぱなし。
その勘がたまたま当たってて結果オーライなのは仕方ないからいいとしても、生態がおかしくてなんか納得行かない。
盗まれた町読めば納得するのかなあ…。

エイリアンものだからびっくり系ホラーではあるんだけど、モンスターパニックではなくゾンビ映画みたい。
エイリアンに全員侵食されたアメフトチームが列を成して向かってくるところなんかすごくゾンビでした。
しかも怖くないの。

それじゃ何がよかったかっていうと。
そもそも話の骨子がエイリアンの生態ではなく、人間の在り方みたいなものに向いている。
そのうえで主人公チームが高校生六人なので、若さ故に単純でヒロイックな結論に至る。
いいじゃないの。
はたまた、エイリアンの方も心情が掘り下げられていて、何故地球を侵略したのか、丁寧に描かれる。
そこが斬新だったし、掘り下げたキャラクター背景の見せ方繋げ方も巧くて最高にドキドキした。
好きな人がエイリアンになっちゃって、気持ちのやり場がないっていうあのシーン。泣ける。

なにしろ六人も主人公格がいるわけで、誰かしらには共感してしまうというのも良い。アイドルグループと一緒ですな。


プチばれ。
お気に入りのシーンを一つ。

侵略されつくした学校から、ケイシー達六人がジークの家に逃げ込み、もしかしてこの中にエイリアンがいるのでは…とお互いを疑い出すくだりがある。
とっても「遊星からの物体X」のワンシーンにそっくり。
しかしこの場面が面白かったのは、エイリアンをいぶりだす手段がドラッグの摂取(中身はほぼカフェインらしい)なところ。
ドラッグをエイリアンが摂取すると死んでしまうが、人間が摂取しても命に別状はない。ただしラリる。
一人ずつ試して大丈夫かどうか確認していくのだが、このままエイリアンが残ったらその時点でダメじゃないか…!と思ってすごいハラハラした。
また、ドラッグ(ジークお手製)を吸った後の態度が、いわばそれぞれの飾らない気性なのかな…と思うと少し切ない。短いシーンなのでそんなにわからないけれどね。

いやしかしよかったです。
おすすめ。

2013/05/16 読後感想 Comment(0)

聖☆おにいさん

聖☆おにいさん/高雄統子/2013 日本


すっごく面白かった。

原作のファンで、OAD(コミックス8巻特装版についていたもの)のAmazonレビューが酷評だったので期待しないように期待しないように…と思いながら初日に見に行きました。
面白かった…!

タッチがとにかくすごくて、中村先生の独特な主線、ハイライトずらした塗りそのままで、漫画が動き出したような、しかもスピード感のある丁寧でいい作品でしたー。
ギャグの間の取り方もいい。
自然な感じを意識してるんだと思うんだけど、セリフは被せて同時に喋ったり、聖コンビが会話してるのと同時に小学生チームが作戦を立てるとか話が平行して進む演出もすごく好き。
初見殺しだなあと思うし、内容覚えてても両方聞きたくてわけわかんないに陥りがちだけど好き。
これから観る人には一応、基本聖さんに集中して、小学生メインのとこは小学生に集中するといいとオススメしておきます。

物語の内容はほぼそのままで、イエスの撮ったアルバム写真をアイキャッチにしながら一年間綺麗に繋げた感じ。
(ワンシーズン毎に入る写真がすごいノスタルジー。ほのぼのしすぎて泣きそう。)
原作に比べると、天界人達のキャラを立てること、宗教的要素のウェイトが弱め。代わりに立川の町そのものを丁寧に描いていて、ちょっとした人情ドラマみたい。
わざわざ立川見に行ったんですが、帰りに町をふらつくのが楽しみになる。
オニ公園ホントにあるし!
(余談ですが、オニ公園の映像がテレビで流れたから、聖おにいさんのCM?!と思ったらアクアのCMでした笑 まぎらわしい!)
だからその分、最聖コンビ以外の天界キャラは全然出てこなかったですね。
大天使が一瞬お空にいるのが映ったくらいで、仏サイドはゼロ人でした。
一緒に行った友達がものすごく残念がってました。その辺はまあ、続編を期待。

映画オリジナルキャラ…ではないんだけど、原作でモブだったキャラを掘り下げて、リアルな町の人を描いているのが面白かった。
どうリアルかっていうと、コンビニ店員はファミマの店員になり、近所の小学生は仮面ライダーフォーゼが大好きな近所の小学生になり。フォーゼってちょっと時期ずれてる感がないか…。仕方ないんだけどさ。
でもサラダ油は日沈食品笑
日沈て笑



あとはキャストの話します。

主演二人がプロの声優ではないというのが気になってはいたんだけど、監督の思惑としては浮世離れした聖人→アニメ慣れしてないキャスト、立川の町の人々→アフレコのプロで立体感を出したかったんだそうで、モブがガンガンセリフ被せてくる中でも聖さん達の発言はきちんと耳に届いてきたからそこは成功してるなと思った。
そのことはパンフなどで森山さんが語ってらした。森山さんすごい。
作中でもイエスのセリフはメリハリがすごかったし、突っ込みもナチュラルってレベル高い演技するなーって思ってましたが、そのパンフ読むと取り組み方の熱心さが伝わってきて、うっかり好きになってしまいそうでした。

イエスのセリフでは、アドリブもたくさん挟んでいたそうで。
休憩時間に森山さん(イエス役)は台本に目を通し、星野さん(ブッダ役)はくつろいで(瞑想?)いたとかいうエピソードなど、まるで本人たちみたいだなあと思ってちょっと感動。
一番ジョニデっぽい発音とか練習してそう笑
みこし担いでるときのテンションあがり具合が好き。


おしむらくは立川にTOHOシネマがないってことさ…
もう一回観に行きます。

2013/05/15 映画感想 Comment(0)

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