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2024/05/15

宵山万華鏡

宵山万華鏡/森見登美彦/集英社刊


装丁の大変良い本である。見るからに美しくてごちゃごちゃしていて、見る人が見れば、ああもりみとだな…と思う。
読みながら何度も表紙を眺めた。

6章構成で、それぞれの章の語り手が違い、ある年の京都祇園「宵山」を色々な角度から眺める。その断片的な祭の景色は、さながら万華鏡の如し。
といった風情の本である。読み終わるとまた少し違うのだが、まあそれはおいておく。

雰囲気としては「きつねのはなし」と「四畳半王国」の中間のような話である。
というか言ってみれば森見作品の視点集大成である。
個人的には太陽の塔で言うところの『腐れ大学生』視点が一番オモシロイので2章の宵山金魚が珠玉であったが、他の視点がマズい訳でもなく、こんな色んな話がよく一冊に纏められるものだと感涙を禁じ得ない。言い過ぎだが。
そういう意味でも万華鏡の名を冠するに遜色ない。流石である。

きつねのはなしに近いと言ったのはホラーテイストな章があるからで、
おおざっぱに分けてホラー2、ファンタジー2、コメディー2といったところ。
他作品にリンクするのは3章に登場する「ゲリラ公演『偏屈王』」だけである。
興味を持ったら「四畳半神話体系」もぜひ。といっても、向こうでもサイドストーリーでしかないのだが。

特筆すべきことでもないのだが、今回、何故だか登場人物の名前が覚えやすかった。
主人公の視点ではあるのだが、書き方が三人称だったのは理由の一つだろう。人物が人称でなく名称で呼ばれ続けるためだ。
万華鏡には相応しい演出だが、感情移入しづらいという難点はある。
もう一つ理由に、人物グループで名前が纏まっているのではないかと思う。
洲崎先生に岬先生、山田川に小早川。

最後に。
筆者は関東者であり、祇園の風習を知らない。
だからどこまで本当のことを言っているのか、最後までわからなかった。
毎度のことではあるが、森見作品を予備知識無しで読むのは危険だと思う。
なにしろ知識がなくても面白く読めてしまうのだから、妙な嘘を鵜呑みにしないとも限らないのだ。
…孫太郎虫ってなんだよ!!

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2013/01/11 読後感想 Comment(0)

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